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お酒の無い国の思い出 [ニュース]

FacebookというSNSでは、時々、過去の投稿を思いでとして見せてくれることがあります。
「何年前のこの日の投稿」みたいに。


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ある日の「思い出」がコレでした


ブルネイ・ダルエッサラームといえば、スルターンのボルキア陛下が、我が国の今上天皇陛下の即位の祝宴で最も上座だったというニュースがありました。席次は在位年数の長い順ということを恥ずかしながら、そのニュースでワタクシ初めて知りました。

敬虔なイスラームの国ゆえ、酒は全く国内では売っていない。
石油と天然ガスで得られる莫大な利益で経済はいたって順調なのですが、それだけに、ほかの産業には全く興味が無い。それゆえ観光資源を開発するなんて考えは毛頭無いので観光要素も全く無い。

いや、ボルネオ島はもともと風光明媚な島なのです。

ブルネイに来た前の月に、僕は同じボルネオ島のコタ・キナバルというマレーシアの街に取材で訪れています。そこは「多くの自然に囲まれていて、ビーチリゾートやトレッキングを楽しめ、先住民族が息づくリゾート地として愛されています」なんて観光案内に紹介されてる。ただ僕は取材に明け暮れていたせいで、背広で奇麗なビーチを行き来していただけ。全く海に入るなんてことは無かったですけどね。
つまりブルネイにも観光資源、観光要素は多分にあるのだけど、それを人を呼ぶために開発しようなんて考えは彼の国の政策の中にはさらさら無いっていうことなのです。

でも、ブルネイが豊かな国なのは確からしく、街はとても美しかった。街の中の移動は、さながらディズニーランドのワールドバザールを自動車で走っている感じ。

そんな取材での移動で、スルターンの宮殿の一つである大統領府の前をよく行き来していました。
そのとき、ブルネイ人のコーディネーターさん(唯一の日本人コーディネーターさんはNHKさんにもってかれた)が、私たちのスルターンは強い軍隊を持っていて、スルターンのおかげで税金も電気代も私たちは無いんだよと誇らしげに語っていたことも思い出しました。英語だったので正確に受け止められているかどうか自信が無いけど、そういう趣旨のことをおっしゃっていました。

東南アジアの支局に所属する記者が、帰任するまでにASEANの国で、どこ回ったかなぁって一つ一つ挙げていくと、ブルネイだけ行っていないなんていうのはよくあるんだそうです。観光はおろか、取材のネタになることも珍しい国だということを表すエピソード。
なんの因果か、僕はそんな国に10日以上も滞在して、毎日、ニュース番組にリポートを送って過ごしました。
ニュースを見た高校の同級生が、画面の写真をFacebookに掲載してくれたこともありました。

そんな取材をすべて終えての帰り。
バンダル・スリ・ブガワンの空港のラウンジで飛行機を待ちながら、そこに掲げられていたスルターン夫妻の肖像に、「もう二度と訪れることはないでしょう」なんて心の中で語りかけたのが・・・もう6年も前なんですね。



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YAP

下戸の私ですが、お酒を飲むのは好きなので、まったく飲めない国となると、ちょっと物足りないかな。
ブルネイの経済が豊かなのは、けっこう有名ですね。
by YAP (2019-11-07 08:20) 

ちんくろ2級

YAPさん、ご自身の大変な時に、コメントをいただき有難うございます。
そうなんですよね、ブルネイに発つ前の晩に、先に乗り込んでいる東南アジアの支局のカメラマンの後輩がビールは手続きを踏めば持ち込めるから持ってきてくれと要請してきました。
僕たちイスラームの人から見た異教徒は、ビール350ml×12みたいに持ち込むことは出来るのです。入国審査の前に申請が必要ですが。
by ちんくろ2級 (2019-11-07 14:28)