SSブログ

勝ちたいんや! [カラテ]

13日の記事にした試合出場の後日談・・・敬愛する星野仙一さんの言葉をお借りして。





散々な結果であった西東京都大会のあとのこと、ともに試合に出た道場生さんから「選手クラスの稽古に出てみませんか」と声をかけていただいた。

この世界、返事は一つしかない・・・
「お・・・押忍」
しかし、押忍は押忍でも、迷いのある押忍・・・である。



次の土曜は既に所用があったので、一週置いた次の土曜。
「押忍」と答えた以上、稽古道具をまとめて家を出る。そして新宿に向かう電車に揺られながらずっと「ホントに僕なんかが出ても良いのだろうか」「そもそも稽古に対応できるんだろうか」そんなことが繰り返し繰り返し頭に浮かんでくる。其れは新宿道場の扉を開けるまで続いた。

もう15年近くも前のことになるけれど、初めてフジテレビ同好会の稽古を飛び出して東京城西支部の東中野の道場に稽古に行った時のことを思い出す。その時も「地上最強のカラテ」やら「空手バカ一代」の実写シーンなんかを思い出しながら「生きて帰ってこれるのかしら」なんて思いながら電車に乗っていたんだった。それこそ東中野の道場の扉を開けるまで「まだ今なら引き返せるぞ」なんて自分に問いかけていたのは今でも忘れられない。



さて、其の日の結果からいうと・・・倒れることも気絶することも無く、稽古は全うできた。
しかし、所々で休みを頂いたり、種々のメニューにおいて回数を制限していただいたりしてのことである。実はウオーミングアップのステップワークによる2分走から足が攣りそうになっていたのだ。其の時、森善十朗先生から頂いた「黒田さんは半分でいいです」との指示が神の声に聞こえた。さらに時に及んではチアノーゼまでには至らずともホントに息が止まるんじゃないかという事態にも陥った。

これでは、とても稽古を全うできたとは言えたものではない。先日の西東京都大会に限らず、試合の出場経験は何度かあるけれども、自らの認識の甘さを痛感させられた。



そもそも西東京都大会には出場するつもりではなかった。それが、一人欠員があるから出場希望者を再度募るとの知らせを受け、ならばと手を挙げたら其のまま出場することになった・・・というのが真相である。

そんな顛末で出ることになった試合だけど、そして冒頭のように散々な結果ではあったけれど、終わってみると其れは、自分の気持ちに革命的な変化をもたらしていた。



其れまでの僕は試合に出場するということが目標、とにかく其の場に我が身を置くことで精一杯であったように思う。もちろん出るからには全力を尽くすし、最初から負けるつもりで出るということも決して無いのだけれど、とにかく「勇気を出して試合に出る選択をした自分」に酔っていたところが少なからずあったのは事実である。

西東京都大会を通じて、そんな僕の中に起こった革命的な心境変化とは、負けた悔しさと同時に、「次は勝ちたい」という気持ちが、強く湧き上がってきたことである。



そのタイミングで頂いた「選手クラスの稽古に出てみないか」とのお言葉。
もちろん迷いはあったけれども、「勝ちたい」からには「このままではいけない」ならば「どうすればいいのか」という指針を其処に示していただいたのだと思いながら、僕は弱気を打ち消していった。



「牛を水飲み場に連れて行くのは、牛飼いの役目。ただし水を飲むか飲まないかは、牛自身の問題だ。わたしは空手を教えるが、強くなるかならないかは、きみたち自身の問題だ」
大山総裁のお言葉である。

この総裁のお言葉の後段が、これからの自分に問われている。
それを自分に問いかけながら、これからも選手クラスの稽古に参加しよう。そんな気持ちで、「また来週参ります」・・・青白い顔(自分自身ではわからないけど・・・おそらく)で、そう先生方に申しあげ、僕は土曜日の新宿道場を後にした。





nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感